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8時間の恐怖 (1957)

山間の小駅。この駅の灯だけが、真暗闇に侘しく光っていた。ホームには、水害で不通になった列車が立往生。午前二時を指す時計の掛かった駅の待合室には、傲慢そうな重役夫妻、セールスマン、男女学生、オンリーさんの夏子、老夫婦、小粋な三十女と愛人、家出した田舎娘など足止めをくった乗客でごった返していた。この騒ぎから取り残されたように静かに佇む乳呑み児を抱いた時枝の側には、一本の手錠でつながれた刑事と殺人犯・森が立っていた。一同はバスで次の駅まで出ることになったが、いよいよ出発という時「銀行を襲撃して現金二千万円を奪った二人組のギャングが、この方面に立ち廻った形跡がある」という悪い知らせが入った。 動揺した乗客は次々とバスを降り、十四名を乗せたボロボロのバスが暗夜の中を出発した。ギャングと山崩れの恐怖に怯える夜が明けると、一同には明るさが戻ったが、時技と森だけは暗い表情を崩さなかった。行く手には、とうてい渡れそうもない朽ち果てた橋。しかしバリバリと音をたてながら、バスは危うくも橋を渡りきった。さらにバスが進むと、前方に青年が飛び出してきた。バスに乗り込んで来た二人連は、大きなボストンバックを提げていたー。