怪談牡丹燈籠 (1955)
芝居や講談でお馴染みの「怪談牡丹燈籠」を東千代介と田代百合子のコンビで映画化。真夏の夜更け、犬の遠吠えさえ不気味に響く丑三つ時。恋に命を散らした美女・お露が、死んでも忘れられない恋人・新三郎を慕って、牡丹燈籠を片手に毎夜訪ねる本所の掘割・・・カランコロンと低く伝わる下駄の音が肌を冷たく刺す怪異の恋物語。 旗本くずれの萩原新三郎は、同じ旗本・飯島平左衛門の一人娘・お露という恋人がいた。だが、自らの父が公儀重臣の寵妾と不義を働いた疑いで切腹となり、お家は断絶。これにより、飯島家では、お露を他家に嫁がせようとしていた。この境遇に絶望した新三郎は、賭場通いを始め、お国という莫連者を知る。またお国も新三郎に一目惚れするのだった。ある夜、新三郎はお露に諭され、やくざから足を洗う事を誓うが、その逢瀬を平左衛門に見つけられてしまう。その場を遁れ落ち、お露が新三郎の家を訪ねると、そこにはお国が待ち構えていた。新三郎と恋仲だというお国の言葉を信じたお露は、失意の余り、乳母・お米と共に大川へ身投げしてしまう。